奥越前の酒米ものがたり

五百万石

米づくりに適した、奥越前の風土・気候

土の肥沃さ、根がしっかりと張る地の深さ、豊かな水、そして夏の昼夜の気温差・・・。奥越前は、昔から米づくりに大変適した水稲単作地帯でした。戦後、この土地柄を生かすため、当初わずか十戸の農家が飯米(食用米)だけでなく、専門性を持った酒米(酒造好適米)の栽培へと立ち上がりました。

当時の様子を、JAテラル越前 指導販売部の木瀬護夫部長(取材当時)にお聞きしました。「先人の話によると、奥越前では昭和29年に“たかね錦”という全国で汎用的に栽培されていた品種で酒米づくりを始めました。一本義さんを中心に県内の酒造家にお酒を仕込んでもらった結果、好評を得たようです。その後、全国から取り寄せたさまざまな品種の試験栽培をし、奥越前の風土・気候にふさわしい酒米づくりを続けていったといいます」。

奥越前の風土に適した、五百万石

数々の試験栽培の結果、安定した品質と収穫が期待できる優良な酒造好適米だと県内蔵元に喜ばれたのが、昭和32年に新潟県で品種登録された「五百万石」でした。その後、昭和35年、五百万石は福井県の奨励品種となります。

同年の一本義の醸造日記にも、使用玄米に「乾側(いぬいかわ。奥越前で最初に五百万石づくりに着手した地区)五百万石使用」の文字が現れ、奥越前産酒米で醸す酒造りが本格的にスタートしました。またこの頃、より良質な酒米を生産するためにと、乾側地区に採種のためのセンターが稼働し、昭和39年には福井県外に初出荷。次第に奥越前産五百万石の評判は高まっていき、昭和50年代には、ついに全国有数の産地となり酒造家に知られるところになりました。

五百万石で醸した酒は、「芯の強さ」が特徴です。一本義銘柄では「上撰本醸造(掛け米に福井県内産酒造用水稲うるち米を使用)」や「純米酒」などの定番酒、伝心銘柄では、「」「」などでお楽しみいただけます。

奥越前小山地区の田植え風景。奥越前産五百万石は、収量だけでなく、検査等級においても「特等米が8割以上」と群を抜いた品質を誇っています。

  • 越の雫
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